Dive Deep into Creativity: Discover, Share, Inspire
読みさしの本があと二、三ページで終わることを思いながら家を出た。電車に乗って本を開くと、残ページは思いのほかあった。手に持っている感覚で、あとは解説だと思い込んでいたらしい。読み終えるまで四駅くらいかかった。解説を読んで、冒頭に戻り、それからぱらぱらとページを繰ると、数々のシーンが走馬灯のように駆け抜けていった。本をしまったあと、何をするでもなかった。ただぼうっと考えていた。火星と、核と、50年代と、そういう不安を考えていた。