フォローしている方の投稿を見て、面白そうだったので買った。執筆陣に好きな作者が多かったのと、特にウティット・へーマムーンの名前があったのは大きい。届いてすぐ「心焦がすサイゴン」を読んだ。感情がねじ切れるかと思うほど良かった。へーマムーン氏の描くタイ人はチャオプラヤ川を原風景として強く抱いている。異国においても川は彼らの意識から切り離されることはなく、どこにいても彼らのチャオプラヤ川に繋がっている、そういう強い感情を今作にも垣間見た。生きることと国あるいは政治というものが強く密接し合い、混じり合って肉体をなす人々の人生。その、一場面。
モデルナ2回目を待っている。が、どうなることやら。世の中も世の中だが暑いというだけで気力が削がれるので早く涼しくなって欲しい。
ぼちぼち読書はしている。新潮文庫から出ている「銀河鉄道の夜」、特別装丁版を買ったは良いものの長らく放置していたのを急に見つけて昨日読み終えた。シグナルとシグナレスが特に良かった。いずれ花巻を旅行してみたい。
これまで自分の意見をはっきり言ったり立場を明確にすることは面倒だし、経験的に無益だと思うことが多かったのだけど、昨今の諸々でやっぱり大事なことなんだなあと思うなどしている。私の場合は積極的な意味合いより、自分を守るためというのが大きいけれど。考えの異なる者同士が互いに過剰な干渉をせず共存できればベストだと思うけれど、対立して壊れる関係ならそれもそれで構わないな、という、この一年少しの自分の変化。
指輪物語2巻を読み終わった。相変わらず物語の進行は遅々としているように感じる。何しろまだ裂け谷にも辿り着いていないのだ。それはそれとして、映画では省略されていたトムボンバディルのくだりや、踊る小馬亭での騒動が面白かった。しかしフロドが偽名に用いた「アンダーヒル」はわざわざ「山の下」と訳さなくても良かったのでは、と思わなくもない。ギャムジー、トゥック、ブランディバックときて山の下さんというのもどうだろうか。
だいぶ暖かいので一日中窓を開けていた。強い風が吹き込んできて家の中の色々なものを揺らめかす。キーボードを打つ指の間を通っていく。それと同時に自分自身がそこからこぼれ落ちていくような感覚を持つ。自分の肉体から自分自身が抜け落ちたら、あとには何が残されているんだろうか。