生来すぐにカッとなったり苛々しがちだ。私は自分の怒りが大切だしそれを捨てたいとは思わないけれど、最近自分の不寛容さと向き合って生きることを意識して生活している。他人のためではなく、自分のためにそうしている。自分のために生きるということを、やっと理解し始めた気がする。
ボンドエア、シャーロックが乗るはずだった飛行機、墜落を待つユーラスの孤独な旅。SHERLOCKにおいて飛行機は最初からずっと死出の旅であった。スティーブン・モファット、あるいは「彼ら」が飛行機という小道具に惹かれるのはなぜなのだろう。実際的な別れはこの小道具によっては生じないけれども、潜在的な、観念的な意味での旅立ちは常にここにある。ホームズはかつて19世紀で滝壺に落ちたように、21世紀ではビルから落ちた。落ちて死ぬのは肉体だけではない。飛んでいるものはいずれ落ちる。ジム・モリアーティが望んだように。幾度となく折り込まれるのはそうした摂理への冷めた目線であり、そうはなりませんように、という祈りにも見える。
猫の事務所(宮沢賢治)
新版 指輪物語6(J.R.Rトールキン)
安田講堂攻防七十二時間 東大落城(佐々淳行)
おじいさんに聞いた話(トーン テレヘン)
よみがえる天才1 伊藤若冲(辻惟雄)
オリガ・モリソヴナの反語法(米原万里)*
トムは真夜中の庭で(フィリパ ピアス)
ライオンと魔女(C.S ルイス)
わたしを離さないで(カズオ イシグロ)
雪が降る(藤原伊織)
*フォームで勧めて頂いた本
最近購入した本もあるが、積読をいくらか消化できたので良かった。ナルニアはこれまで読んだことがなかったのだが、指輪物語を読み始めたのが良いタイミングとなった。
*は別所経由で勧めて頂いたのだが、あまりに面白くて一気に読み終えてしまった。登場人物がどんどん増えて行くけれど、全員にドラマがあり、しかも最後は綺麗に一つの結末へ行き着くのが最高だった。
8巻。セオデンが奮い立ちゴンドールへ向けて勇猛に馬を進める様子を兵たちが神話の人物かと見紛う場面がとても良い。エウォインの女であるがゆえの苦悩、苛立ちが丁寧に描かれているのも良かった。それがあればこそその後の活躍は一層輝いて見える。
指輪物語の文体や言い回しは、この物語の神話的な性格に相応しいものだと思うのだが、この巻は特に痺れる表現がたくさんあった。デネソールが自分と瀕死のファラミアに火をかけての無理心中を思い立った際、高熱のファラミアの手をとって「この子はもう燃えておる」は特に好きなシーン。
それからエーコの「プラハの墓地」は、まだ15%程度。面白い。この雰囲気は同じエーコの「薔薇の名前」を帯文で引き合いに出された「グノーシスの薔薇」(デヴィッド・マドセン)を思い出す。などと言うとエーコファンには怒られるのかもしれないが、私はこの本が大好きだ。こちらも再読する機会があれば、また。
箱買いしたので、と頂いた。好きなものを好きなだけ買える大人はいいね。
フォローしている方の投稿を見て、面白そうだったので買った。執筆陣に好きな作者が多かったのと、特にウティット・へーマムーンの名前があったのは大きい。届いてすぐ「心焦がすサイゴン」を読んだ。感情がねじ切れるかと思うほど良かった。へーマムーン氏の描くタイ人はチャオプラヤ川を原風景として強く抱いている。異国においても川は彼らの意識から切り離されることはなく、どこにいても彼らのチャオプラヤ川に繋がっている、そういう強い感情を今作にも垣間見た。生きることと国あるいは政治というものが強く密接し合い、混じり合って肉体をなす人々の人生。その、一場面。