https://www.esquire.com/jp/lifestyle/tech/a33977776/elon-musk-says-settlers-will-likely-die-on-mars/
先日サンラーのスペースイズザプレイスを観に行った。宇宙探査に世の中が湧いている昨今、誰がどの段階でこの作品を上映しようと企画したのだろう。サービスデーを避けて観賞したが、平日の夜にも関わらず結構な人入りだった。企画する方が企画する方なら観に行く方も観に行く方ってなもんで、シネマカリテ、いいシアターである。
二年前くらいにインストールしてから使ったり休んだりを繰り返しているのだが、ここ最近は積極的に利用している。
SNSを見ているとどうしても「みんなに比べて自分は何もしていない」という気持ちになりがちなのだが、Trickleで自分のログを見直すと自分なりに色々取り組んでいることをちゃんと認識できるから助かっている。草ログが実装されているのも、自分が何についてどれくらいの頻度で(あるいは期間を)取り組んできたのかがわかりやすくて良い。他人が取り組んだことについて「自分はやっていない……」と落ち込むのではなく、自分がやってきたことをちゃんと自分で評価できるようになれればいいと思う。
やりたいこととやらなくてはならないことと山ほどありすぎるわりにどれもうまく進まないので、一周回ってなにもやりたくない気持ちになっている。本を一冊読むのに一ヶ月かかった。読みたいと思う本もあまりない。日本語原著は相変わらずだめで、いったん翻訳というワンクッションを経た他言語作品ならどうにか、というところ。というか実際は、カズオイシグロしか読んでいない。イシグロの文章はいい。翻訳もいいのだと思う。雰囲気はずっと淡々としている。淡々としていても情緒豊かだ。冷淡でもあり、暖かくもあり、不可解でもある。それはイシグロ作品が「過去」を多く扱うこととも関連があるだろう。が、ともかく、読み手を過度に煽らない文章に助けられている。
最近、オースターを読む人にイシグロをすすめてみた。両者は根底を流れている水のようなものが似ていると思う。そういうニュアンスでしかないところへ、どれだけ同意してもらえるかはわからないが。
フォローしている方の投稿を見て、面白そうだったので買った。執筆陣に好きな作者が多かったのと、特にウティット・へーマムーンの名前があったのは大きい。届いてすぐ「心焦がすサイゴン」を読んだ。感情がねじ切れるかと思うほど良かった。へーマムーン氏の描くタイ人はチャオプラヤ川を原風景として強く抱いている。異国においても川は彼らの意識から切り離されることはなく、どこにいても彼らのチャオプラヤ川に繋がっている、そういう強い感情を今作にも垣間見た。生きることと国あるいは政治というものが強く密接し合い、混じり合って肉体をなす人々の人生。その、一場面。
上越新幹線にて絶賛運用中のMaxとき(たにがわ)ことE4系が、ついにこの秋を持って運用終了となる。引退キャンペーンの一環として全編成に特別ラッピングが施されたと聞いていてもたってもいられず、退社後の足で東京駅へ寄ってきた。装備はといえば、スマホとISO100のフィルムが入ったカメラしかない。知っていればそれなりに持って出たのに、でもまあいいだろうと思って入場券を買った。とにかく「見てみたい」と言う己の気持ちを尊重することが重要だと思ったのである。
Maxは素晴らしい車両だった。子供時代、新幹線に乗る機会なんていうのは基本的に夏冬の長期休暇を利用した旅行に伴うもので、動機からして既に楽しい。しかも新幹線というものはただでさえ、大きくて速い。その上二階建てとくれば、それはもうとてつもなく素晴らしい存在だったのである。
親たちはいつも二階席をとって子供たちを喜ばせた。いい思い出だ。私は今でもできる限りMaxを選び、二階席に座る。ただいつの頃からか夏と冬の休暇期間だけは、かつての自分のような子どもたちに配慮(?)して、一階席に収まるようになっていた。乗る機会を持てない間も、Maxの走る姿を見るだけで嬉しかった。
Maxにとって最後の冬は終わった。融雪用のスプリンクラーが吹き出す水の霧に包まれながら入線するMaxを見ることはもうない。けれどまだ夏はやってくる。今年はどうだろうか。帰省の、あるいは旅行に向かう子どもらがステップを駆け上がって行く姿を見ることができるのだろうか。そうして彼らで満席になった車窓を見ることが。そうであってほしい。
最後の最後まで、Maxにとって、たくさんの人にとって、素晴らしい思い出が積み重なるように、心から願う。
猫の事務所(宮沢賢治)
新版 指輪物語6(J.R.Rトールキン)
安田講堂攻防七十二時間 東大落城(佐々淳行)
おじいさんに聞いた話(トーン テレヘン)
よみがえる天才1 伊藤若冲(辻惟雄)
オリガ・モリソヴナの反語法(米原万里)*
トムは真夜中の庭で(フィリパ ピアス)
ライオンと魔女(C.S ルイス)
わたしを離さないで(カズオ イシグロ)
雪が降る(藤原伊織)
*フォームで勧めて頂いた本
最近購入した本もあるが、積読をいくらか消化できたので良かった。ナルニアはこれまで読んだことがなかったのだが、指輪物語を読み始めたのが良いタイミングとなった。
*は別所経由で勧めて頂いたのだが、あまりに面白くて一気に読み終えてしまった。登場人物がどんどん増えて行くけれど、全員にドラマがあり、しかも最後は綺麗に一つの結末へ行き着くのが最高だった。