The Lord of the Ringsを観終わったので、The Hobbitに着手した。LOTRの完走には実に一週間もの時間を要した。48時間期限の配信をレンタルするのだが、途中で期限が切れて再度借りさえしたのである。「王の帰還」のエンドロールが始まった時、やっとこれで終わったのだ……という感慨が、まるで自分自身が指輪を捨てる旅に出ていたかのように押し寄せてきた。
そうしてひと時の安息を経て、今度は過去へと冒険に発ったのである。
どちらのシリーズも物語が面白いのはもちろんなのだが、カメラワークの妙と言うか、世界を余すことなく見せることによって世界観へより深く没入させるところがすごい。草原から山肌、空と走る雲。緻密に描かれる地下の国。LOTRでのホビットの汚れた足、戦場に長髪をなびかせて戦うエルフの洗練された強さ。目に焼き付いている。
TOEICだった。よく出来たとも出来なかったとも言えない。模擬テストの結果と学習アプリの予測スコアがほぼ同じだったので、それくらいであれば良いかなあと思っている。
卒業した高校へ再び登校する夢を見た。親に送ってもらう車の中で「知らない人ばかりになっているだろうにうまくやっていけるだろうか」などと漠然と考えていた。学校からの帰り道、もう長い間連絡が取れなくなっている友人に会うため彼女の職場へ行った。彼女は現実には生花店で働いていたけれど、夢の中では今はもうない書店で働く人だった(彼女は本を読むのがとても好きで、私が声をかけても気がつかないほどに熱中する人だったから、願望というか、潜在意識がそうした設定を作り出したのかもしれない)。連絡が取れなくなる少し前、彼女は精神的にとても不安定だったけれど、夢の中ではちゃんと健康そうに働いていて、私を見ると笑った。私はポケットから自転車の鍵を取り出して彼女に渡した。彼女の運転する車に幾度も乗せてもらったけれど、その鍵は彼女が小学校の頃に乗っていたブルーの自転車の鍵だったと目が覚めてから思った。
8巻。セオデンが奮い立ちゴンドールへ向けて勇猛に馬を進める様子を兵たちが神話の人物かと見紛う場面がとても良い。エウォインの女であるがゆえの苦悩、苛立ちが丁寧に描かれているのも良かった。それがあればこそその後の活躍は一層輝いて見える。
指輪物語の文体や言い回しは、この物語の神話的な性格に相応しいものだと思うのだが、この巻は特に痺れる表現がたくさんあった。デネソールが自分と瀕死のファラミアに火をかけての無理心中を思い立った際、高熱のファラミアの手をとって「この子はもう燃えておる」は特に好きなシーン。
それからエーコの「プラハの墓地」は、まだ15%程度。面白い。この雰囲気は同じエーコの「薔薇の名前」を帯文で引き合いに出された「グノーシスの薔薇」(デヴィッド・マドセン)を思い出す。などと言うとエーコファンには怒られるのかもしれないが、私はこの本が大好きだ。こちらも再読する機会があれば、また。